普及・啓発

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専門教育

獣医師を対象とした実習(レントゲン読解)

 獣医学の中でも、野生動物医学や保全医学は比較的新しい学問領域です。国内における全ての獣医系の大学でこの分野の専門的な教育が受けられる訳ではありません。しかし、特に野生鳥類の医学に関しては、近年社会問題化した、鳥インフルエンザやウエストナイル熱をはじめとする人獣共通感染症の問題や、多くの希少種が鳥類である我が国の事情を鑑みた場合、正確な知識と問題意識を併せ持つ次世代の獣医師や研究者を育てる必要があります。
 野生動物医学を学ぶ上で、成書を基にした座学はもちろん、野外での実務経験を積むことはとても重要です。動物と人間双方の安全性を確保した野生鳥獣との接し方、野生動物への心理的・肉体的な負担を最小限にするための調査方法、さらには正確な診断や検査の手技などは、実際に野生動物を目の前にして初めて、経験に裏打ちされた真の実力が身につくものだと思います。

獣医師を対象とした実習(臨床診断と治療)

学生実習

獣医の卵を対象にした専門教育

 猛禽類医学研究所では、全国の獣医学科(高学年)の学生を対象にした実習を開催しております。可能な限り実践的で質の高い内容を維持するため、研究所主催の野外調査等があるときを中心に、少人数をインターネットなどで募集しておりますが、毎回非常に多くの参加希望をいただいており、嬉しい悲鳴をあげています。
 専門的な講義による学習はもちろんのこと、研究所の日常業務である傷病鳥の診断・治療、入院動物の飼育管理や病理検査などを通して、特に猛禽類の取り扱い方や獣医学的な知識をしっかりと身につけてもらっています。また、時には早朝から深夜にまで及ぶ野外調査を通して、野生動物の現状や保護活動の実際を眼にする機会も設けています。

獣医師向けの卒後教育

 傷病鳥獣は一般の動物病院や家畜診療所、獣医師個人のもとへ持ち運ばれることも多々あります。小動物や家畜の診療に携わっていらっしゃる臨床獣医師の皆様や、普段は動物と接することなく働かれていらっしゃる獣医師の皆様にとりましても、様々な原因で保護収容されてくる野生動物を正確に診療治療できる技術を習得しておくことは、環境保護が重要視される現代における、獣医師の社会的貢献につながるのではないでしょうか?
 猛禽類医学研究所は(社)北海道獣医師会などの要請を受け、野生動物の救護技術に関する講習会を毎年実施しております。日頃から野生動物に携わっている私達にとっても、他の分野で活躍される先生方と話し合える貴重な機会にもなっており、獣医師としてのスキルアップとモチベーションの維持向上に向けたカンフル剤とさせていただいております。

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