リハビリを終えて


 「 海水を飲み、脱水症状」でご紹介したオオワシの幼鳥が、約一ヶ月にわたる治療と段階的なリハビリを終え、センターを卒業する日を迎えました。最後の健康診断のために捕獲したワシは、体重が少し重くなり、胸筋も十分に発達していました。
 オオワシは冬鳥。多くの大人のワシ達は一足先に北に向かいましたが、繁殖に関与しない若いワシ達は、まだ道内に残っている季節です。
静かな湖畔


 今回放すオオワシは、去年生まれの子供ですが、野生での生活を道内でしっかりと取り戻し、宗谷海峡を越えてロシアに渡ってもらうためには、ゆっくりしている余裕はありません。
 野生復帰させる場所として、オホーツク海沿岸の小さな湖沼を選びました。オオワシやオジロワシに加え、カモやハクチョウなど、多くの渡り鳥が旅の途中に翼を休める静かな環境です。
卒業おめでとう!


 いよいよお別れの時。最後に鳥の様子を確かめるとき、いつも思うことがあります。「頑張れよ!」という思いと、「死体や傷ついた姿で再びセンターに戻ってくるなよ!」という思い。複雑な感情を押し殺し、ついて出た言葉は・・・「もうお前に会いたくないぞ!!」
再び元の世界へ


 ケージの扉を開けたにもかかわらず、ワシはなかなか外に出ようとしません。警戒心?それとも戸惑い?
 もう一度、中の様子を伺おうとした瞬間、オオワシは勢いよくケージの外に飛び出しました。
まっすぐ前を見つめて


 力強いダッシュと羽ばたきに、6キロ以上もある身体がフワリと浮き上がりました。上空で早くも風を捉え、落ち着ける場所を確認して方向転換!500m以上も離れたアシ原まで一気に飛んだ後、なめらかに着陸して辺りを偵察です。
北の大空へ!


 再び大空に舞い上がったオオワシは、信じられないことに湖を一気に横断し、対岸の森林地帯をも軽々と超えて、姿が見えなくなりました。
 手に汗を握りながら見守っていた私達にも、ようやく安堵の時が訪れました。