いざ厳冬期のロシアへ


 1月中旬、厳冬期のロシア・サハリンに行ってきました。今回の渡航目的は二つ。北限のオオワシ越冬地を探すことと、鳥インフルエンザに関する国際的な情報共有と協力体制を構築することです。
雪と氷とつららの世界


 空路訪れたサハリン州(旧樺太)の州都、ユジノサハリンスク市(旧豊原)は、猛烈な吹雪に見舞われていました。レストランの駐車場では、食事中に雪に埋もれてしまった車を懸命に掘り起こす市民の姿が。。。
シンプルだけど美味


 ユジノサハリンスクから夜行列車で、旧国境地帯にあるサハリン中東部の都市、ポロナイスク(旧敷香)に向かいます。夕食は、出発前に買い込んだ惣菜とパン。今晩のメインディッシュはニシンのマリネとロシア製のハム。車掌さんに注文すると、砂糖が層状に沈殿した熱々のロシアンティーがやってきます。揺られること約8時間。。。ようやく目的地に到着です。
よく見ると日本の面影も


 州都から北へ約280km、ポロナイスク市の町並みです。ソ連時代に建てられた古いアパートが建ち並びますが、中には日本時代の家屋を利用した民家も残っており、旧敷香駅ではプラットホームの跡が確認できます。昨年の調査で、ポロナイ湾に面したこの場所で厳冬期にオオワシを見たことがあるとの情報を得て、日露共同調査を行うためにやってきたのです。
真新しい博物館で初会合


 改装中の博物館でオオワシ調査の打ち合わせです。旧知の鳥類学者で、ポロナイスク国立公園事務所に勤めるニコライ・ピロゴフさん(右)と女性の館長さんが快く対応して下さいました。厳冬期にはオジロワシの観察例は多少あるものの、オオワシについては断片的な記録しか無く、今回の調査は非常に有意義であるとの感想を戴きました。
  あの...川の上ですが


 夕方、ポロナイスク北部のポロナイ川河口に出てみると、何やらすごい人だかり!? 冷たい風が絶え間なく吹く、凍てついた河口でいったい何があるというのでしょう?  すっかり結氷しているとはいえ、ここは川の上。こんなに大勢の市民が車で乗り付けても大丈夫なのか。。。少し心配になりました。
 
  もはやレジャーの域を超え


 その正体は、分厚い氷に穴を開け糸を垂らす、コマイ(氷下魚)釣りの市民でした。しかも皆さんこんなに大量!!!!! この時期、毎日のように釣りに来ている人も多いとのことで、もはやレジャーの域を完全に超えています。
 
  中にはこんな方も


 温かそうな毛皮のコートまとったご婦人。足下に散らばる魚の量からして、なかなかの凄腕と見ました。よく聞くと、地元の加工業者がコマイを買い取ってくれるとのこと。。。まさに趣味と実益をかねた季節の催しなのです。