アホウドリとコアホウドリ


 根室市でとても珍しい海鳥が保護されました。美しいピンク色の嘴をした、大きな鳥はアホウドリです(写真最前の鳥)。実はこのアホウドリには足環がついており、2006年に伊豆諸島の鳥島生まれの鳥だとわかりました。若いので、全身が黒っぽい羽毛で覆われています。後方には、2羽のコアホウドリがいますが、比べてみると大きさの違いは歴然ですね。
 この3羽は、笹やぶの中にいたとのことで、負傷や油汚染が懸念され、センターへ検査のため搬送されました。一見元気のようでも、外洋で暮らしているはずの鳥が陸にいることは、何らかの原因を抱えていることが考えられます。
  イカをあげます


 アホウドリたちの好物はイカと言われています。さっそくスーパーで刺身用のイカを買い求めてきました。できるだけ鮮度の良いものをと思うとなかなか高価な食事代となりますが、仕方ありません…  これらの種は、脱水や栄養不良があっても、自分では餌を食べてくれないことが多いので、治療の際には強制給餌を行わなくてはなりません。アホウドリは特に力が強く、嘴の縁は鋭利で刃物のように研ぎ澄まされているため、この作業を行う者は、とても痛い役回りとなってしまうことがあります。
 
  検査の結果


 一通り検査をしたところ、アホウドリは痩せていましたが、幸い極度の衰弱状態にはありませんでした。しかしいずれも足の付け根に擦過傷と内出血が見られ、網に絡まったことが疑われました。油による汚染も心配されましたが、大きなプールに水を張ってしばらく見守ったところ、浮力を失っていないことが確認できました。
 
  放鳥しました


 アホウドリもコアホウドリも、繁殖期以外はほとんどを海の上で暮らしています。陸上で大きな体を支えることは、足に大きな負担がかかってしまいます。今回、比較的早い段階で放鳥することができたのは不幸中の幸いでした。
 再び網に絡まることのないよう、新鮮なイカがたくさん食べれるよう、旅の続きの無事を願うばかりです。