妖怪の正体?


 「ヌエの鳴く夜は・・・」とはどこかで聞いたようなフレーズ。ヌエ(鵺)は夜中に不気味な声で呼びかける妖怪のことですが、実はトラツグミがその正体ではないかと言われています。見かけによらず、暗くなってから「ヒー、ヒョー、チーン」と不思議なフレーズで歌うことから、このような誤解が生じたのかも知れません。
 9月末、一羽のトラツグミが小学校の体育館裏で飛べずいるところを保護され、センターに運び込まれてきました。どうやら建物に激突したようで、胸の骨を大きく骨折していました。現在、翼や肩を動かさないように固定したまま、入院生活を送ってもらっています。
  今日のデザートはヤマブドウ


 このトラツグミ、実は見かけによらず大食漢。しかも主食は生きたミミズや昆虫です。この鳥が来てからというもの、スタッフは毎日センター裏の土手を掘り、ミミズを捕獲するのが日課になりました。一日に必要な200gものミミズを毎日確保するのは容易ではありません。最近、ナナカマドやヤマブドウなどの木の実も食べることがわかり、今ではこれらも加えたバランスの良い食生活を送ってもらっています。
 怪我は思いのほか重傷で、治療とリハビリでどこまで回復できるかわかりませんが、患者の治る力を信じて互いに頑張りたいと思っています。
 
  ようやく飛び上がれるように


 入院して20日後、ようやくギプスがとれたトラツグミ。まだ本格的な飛翔はできないものの、高さ1mほどの止まり木まで飛び上がれるようになりました。
 明るい茶色と黒のトラ模様はとても美しく、"妖怪"のイメージは全く感じられません。もう少し元気を取り戻したら、あの不思議な声を聞かせてくれるのでしょうか?
 
  豪華な食卓


 できるだけ自然に近い食生活を送ってもらうため、徐々に食べ物のレパートリーが増えました。真ん中の白い容器の中には、土や落ち葉と共に大量のミミズが入っており、いわゆるメインテーブルとなっています。また、周りにはナナカマドやマユミ、ヤマブドウ、ツルウメモドキなどの実が枝ごと置かれ、とてもカラフルな食卓になっています。