内陸で保護された珍しい海鳥


 6月のはじめ、釧路湿原に面した鶴居村で、珍しい鳥が保護されました。シロエリオオハムという名前の、外洋性の海鳥です。移動の途中に内陸部に迷い込んでしまったらしく、大きな外傷はないものの座り込んだままです。多くの海鳥は一年の大半を水に浮いた状態で過ごし、飛び立つときにも水上での助走が必要です。
ちゃんと浮けるかな?


 陸上に降り立ってしまったことによって、自分の体重を両足で支えきれず、座り込んでしまっていたようです。検診や血液検査では異常は確認されませんでしたが、目には見えない油によって羽毛が汚染され、浮力を失っている可能性もあります。念のため、水を張った広めのプールに浮かべ、様子を見ることにしました。
まるで水を得た魚


 着水と同時に見違えるように活気を取り戻したシロエリオオハム。さすが海鳥、時々水の中をのぞき込みながら、まるでミズスマシのようにスイスイと水面を泳ぎ回ります。身体の最後尾についた水掻きを、まるで船のスクリューや舵のように使い、身体を自由自在にコントロールしています。これなら海に戻してあげられそうです。
再び大海原へ


 釧路市近くの海岸に海鳥を運び、波が穏やかな砂浜から放鳥しました。ほんの一瞬、戸惑った様子を見せたものの、足が海水に触れるやいなや、どんどん沖に向かって泳ぎ始めました。10分後には早くも数百メートル沖合に達し、時々水に潜ったり、羽繕いしたり。そんな落ち着いた様子を見届けて、スタッフ一同、日が暮れ始めた海岸を心明るく後にしました。