誤飲をしたトビ

執筆:堤百合香

保護した鳥(猛禽類)

1. トビを保護したとの連絡

ある湖のほとりに、うつ伏せの状態で動かないトビがいたため保護したと、センターに連絡が入りました。
特に出血などの目立った傷も無いとの事でどうしたものかと収容に向かいました。

レントゲンに映ったのは…

センターに到着して、触診を行いましたが特に大きな骨折などは見られずレントゲンを撮ってみました。
すると、お腹の中におかしな影が見られました。
何か丸いリングのようなものを飲み込んでいるようです。
これが原因で調子が悪いのかもしれません。
リングを取り除いてみることにしました。

ヒヨコの羽毛に絡ませてリングを取り除く

鳥類は、食べた獲物の羽や骨など消化できないものは“ペリット”として口から吐き出します。
そのペリットに絡ませてリングを取り除く作戦をとることにしました。
丸ごとのヒヨコを4匹与えて様子を見ます。
すると、翌日ケージ内にペリットを発見しました!!
あの丸い影の正体はレース鳩の足環でした。
ヒヨコの羽毛が絡んでしっかり吐き出されています。
その後、トビは元気な様子が見られたので入院室で数日過ごした後、屋外のリハビリケージへ移してどれほど飛べるのかを確認してみました。

飛べるかな?

さて、うまく飛んでくれるのでしょうか?
リハビリケージに入ってそっと手を離すと、パタパタと上手に飛んでくれました。
少し風のある日でしたが、うまく風をつかんで上昇したり滑空したり自由自在に飛翔する姿を見せてくれました。
後日、収容地まで運んで放鳥することになりました。
これに懲りてもう二度と変なものを食べないように気を付けてほしいものです。
(執筆: 堤百合香)

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