背骨の緊急手術

執筆: 

保護した鳥(猛禽類)

列車と接触したオジロワシ

 線路の脇に大きなワシがうずくまっているとの通報を受け、現場に駆け付けると、オジロワシの成鳥が翼をバタつかせていました。比較的元気はあるものの、下半身に全く力が入らない様子で、特に足指のグリップ力は完全に失われていました。全身に擦過傷や浮腫があり、どうやら列車と衝突したと思われました。
 現場で輸液などの緊急治療を施し、ただちに釧路湿原野生生物保護センターに緊急搬送しました。

足に力が入らず背骨の緊急手術

レントゲン検査の結果、胸部の骨に脱臼が見られたほか、背骨の骨折が確認されました。また、全身打撲によって内蔵も損傷していることが示唆されました。下半身の麻痺は、骨折の影響で脊髄や周辺の神経が圧迫されている事によると思われたため、全身麻酔下で背骨を整復する手術を行いました。現在、特製のハンモックに横たわった状態で入院しておりますが、わずかに足指が動くまでに回復してきています。

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