クモの巣にエゾムシクイ!?
クモの巣にかかっていたのは…
先週のこと、朝の飼育作業中に野外ケージの角を見上げると、なんとクモの巣にエゾムシクイが引っかかっていました。随分暴れた様子でかなりぐったりしており、見つけたときはピクリとも動きませんでした。大急ぎでクモの巣から外し、状態を確認しました。

状態は良好で一安心
クモの巣が身体中に絡みついていて、両翼とも自力で広げることができない状態でしたが、幸い脱水や衰弱も軽度でした。インキュベーター(保育器)の中でしばらく休ませると活発に動き回るようになり、元気を取り戻しました。

料理中ではありません
状態が回復したので、体中に絡みついたクモの巣を落とす作業を行いました。クモの巣やネズミ捕り用のトリモチなどが鳥の羽毛にこびりつくと、水洗してもなかなか取り除けません。また、水の使用は小鳥の体温を低下させる危険があります。そこで活躍するのが小麦粉や片栗粉などです。こびりついた粘着物に粉を振りかけ、歯ブラシなどでやさしく擦ると、水を使うことなく汚れを落とすことができます。この際、粉を誤って鳥が吸引してしまわないよう注意が必要です。

無事にリリース
綺麗になった羽毛をしきりに羽繕いして、エゾムシクイはすっかり元の姿に戻りました。一般状態も良好だったため、無事にその日のうちに放鳥することができました。今回は、クモの巣に自らかかってしまうというちょっと珍しい事故でしたが、鳥は翼がからめとられてしまうと、簡単に身動きが取れなくなるということを改めて認識しました。ネズミ捕り用のトリモチ、漁網や防鳥網など、野外には鳥たちに脅威となる人工物が沢山あります。いつも頭の片隅に、これらが引き起こしうる事故のことを留めておき、ちょっとした配慮をするだけで苦痛や死を防ぐことができます。身の回りの危険な人工物から、鳥たちを護る活動にご協力ください!
