真冬のサハリン

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フィールドワーク・野外調査

真冬のロシアへ!

気温マイナス25度。氷に閉ざされたロシア・サハリン(樺太)に行ってきました。今回の目的はオオワシの越冬状況を調べる事。オホーツク海を望める海岸に出てみると、岸まで押し寄せた真っ白な流氷が出迎えてくれました。

軍人ではありません。。。

はるか沖合まで流氷帯が続き、ワシが餌の魚を捕る事ができる開水面は全く見あたりません。ロシア人研究者と、白銀の世界を根気よく観察し、ワシの姿を探します。野生動物に影響を与えないように、調査ではできるだけ自然に溶け込む服装を心がけています。

海の向こうは北海道

サハリン島南部のアニワ湾に移動。オホーツク海とは違い、海面に氷が張っているものの、分厚い流氷で覆い尽くされている訳ではありません。所々で顔を覗かせている、水面の近くを望遠鏡で観察します。

孤高の鳥、発見!

そして・・・とうとう発見!
黒い身体に白い肩。まぎれもなくオオワシの成鳥です。氷間のわずかな開水面の横に陣取り、餌でも狙っているのでしょうか?

目に飛び込んできたものは

アニワ湾の流氷帯を優雅に飛ぶオジロワシが一羽。その姿を追っていると、思いがけないものが目に飛び込んできました。
特殊な形をした大型船・・・大規模石油天然ガス開発「サハリンⅡ」の積み出し基地がある、プリゴロドノエから出港したばかりの日本のLNG運搬船です。

いつもリスクと隣り合わせ

オオワシやオジロワシを確認した場所からわずか数キロに位置するサハリンⅡの基地。大型のタンク(写真)には大量の原油が貯蔵されます。
サハリン北部の石油採掘現場はオオワシの重要な繁殖地。アニワ湾の積み出し基地は越冬地。そして間を結ぶ長さ800kmにも及ぶパイプラインは渡りのルート上にあります。事故によって石油が川や海、湿原に流出しない事を願うばかりです。

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