北海道で猛禽類調査
狩猟残滓を食べるオジロワシ
釧路から厚岸に向かう国道沿いの山林で、狩猟後に放置されたシカの死体(狩猟残滓)を食べるオジロワシを見つけました。カラスによる妨害をものともせず、鋭いクチバシで一心不乱に肉を引きちぎっています。
自然死したシカの肉は、厳冬期を乗り越えるための貴重な餌資源として、オオワシやオジロワシに過去より利用されていたと思われます。

しかしながら、ワシの鉛中毒がいまだに無くならない現状を考えると、狩猟後に投棄されたシカは、違法な鉛弾によって射止められた可能性があります。やむを得ず、雪上に残された猟師の足跡をたどって近づき、オジロワシを追い払うとともに、シカの死体を埋却しました。
一日も早く、この国から鉛弾が撤廃され、健全な採餌環境が復活する事を願ってやみません。

ユーラップ川(道南)でのオオワシ・オジロワシ調査
オオワシ、オジロワシが越冬のため渡来しているこの季節、私達は調査のため車で道内を走り回ることが多くなります。北海道南部の八雲町には、アイヌ語で温泉水が流れる川という意味の遊楽部(ユーラップ)川という清流があります。
河畔林には、多数のトビやカラスの他に、オオワシとオジロワシがたくさん止まっていました(写真中央&上部)。集まっていたワシの中に、発信機付きのオオワシを2羽確認しました。2007年の夏にサハリンで産まれた鳥だったのですが、雛の時に出会った彼らが今もこうして逞しく生きていることに深い感慨を覚えます。

サケを食べるワシ
ユーラップ川は流れを妨げる堰堤や砂防ダムが無いことから、たくさんのサケ・マスが遡上する豊かな川として知られています。そして蛇行や瀬が多く、ワシだけでなく多くの鳥達にとっても適した環境のようです。
ホッチャレ(サケの死体)を川から引き上げ、厚いサケの皮を引きちぎるのはワシでないとなかなかできません(写真左下)。ワシが食べ終わった後は、カラス達がお相伴にあずかっています。
