夏の日のベビー?ラッシュ!
①いつもと違う夏
夏になると、猛禽類に限らず、巣立ちしたばかりのちびっこたちの収容が増えます。
この夏もたしかにちびっこたちが次から次へとやってきたのですが、例年であれば、いわゆる誤認保護が多くを占めるところ、新型コロナウイルス感染症の出現で生活様式が変わったためか、この夏の様相は違っていました。
三密を避けて出歩く人が少なくなったのか、誤認保護と思われる事例はほぼありませんでしたが、衝突などが原因で脳震盪を起こしたり、負傷したりして飛べなくなっているところを保護されたちびっこがほとんどで、ベビーラッシュ状態でした。
今回はその収容されたベビー(鳥類なので正しい使い方ではありませんが)たちを紹介します!
※写真は今年釧路湿原野生生物センターの軒下で育ち、巣立ったツバメです。

②オオタカの正体
ある暑い日、オオタカと思われる猛禽を農地で保護した、と釧路から遠く離れた町の役場から通報がはいり、役場の方が遠路はるばる釧路まで連れてきてくださいました。
箱のふたを開けて中を見てみると、そこにいたのはオオタカではなく、ノスリの幼鳥でした。右の翼を骨折していましたが、順調に回復し、無事に卒業しました。放鳥前には通常、足環装着のほか、身体測定をするのですが、脚の長さを測定中の筆者に、もう一方の脚を巧みに使って一撃を加えるという、最終日までやんちゃな子でした。

③ヒッチハイクしたハヤブサ!?
ハヤブサがトラックの荷台で動けなくなっている、という通報が入りました。場所は釧路市内、ハヤブサは希少種に指定されていますので、すぐにスタッフが現場へ向かいました。
現場へ到着したスタッフから「ハヤブサではありませんでした。」との電話報告。個体はハイタカの幼鳥で、右肘のあたりを骨折し、飛ぶことができない状況でした。
トラックに乗り込んだと思われる場所は釧路から遥か遠く。ドライバーの承諾なし(?)にヒッチハイクし、トラックに揺られて医療機関の近くまでやってきたというわけです。これもまた本能でしょうか?!
野生復帰を目指して、現在リハビリ中です。

④どこまでもマイペース
最後にご紹介するのは猛禽類以外から。
識別に頭を悩ませたこの個体はシマセンニュウです。駐車場で動けなくなっているところを保護されました。特に骨折もなく、骨格上の異常は認められませんでしたが、衝突の衝撃のためか、収容後しばらくは眼を閉じたままだったり、ぼんやりした様子でした。
スタッフの懸命な看護でみるみるうちに元気を取り戻し、処置中に手から逃げ出して室内を飛び回るほどに回復しました。
最後の最後まで、こちらが用意した餌を自らついばむことはありませんでしたが、放鳥直後、一目散に飛び去ってしまうかと思いきや、しばらく地面でアリなどをつついて回っていました。
平和な昼下がりでした。
