令和最初のお正月

執筆:河野晴子

当番日記

命を扱う現場は年中無休!

新元号になってから、初めてのお正月がやってきました。
釧路はお天気に恵まれ、からっとした冬晴れの下、気持ちの良い新年を迎えました。
世間は大型連休の真っ只中ですが、釧路湿原野生生物保護センターには終生飼育個体や治療・リハビリ中の個体がおり、またいつ収容があるかもわかりませんので、お正月であっても営業しています。
そして私は元旦から当番という当たりくじを引いたわけです。
お正月気分を味わうべく、お雑煮やお節を食べたりもしましたが、気持ちの上では普通の日と変わりませんでした。

ワシ達へのお年玉

日本のお正月ならでは、ということで、ワシ達にはお年玉を用意しました。
お年玉といっても、ポチ袋に入った現金ではなく、活きのよい魚です。
普段は解凍した魚を食べているので、活きた魚を捕食するということに、皆興奮しているようでした。
いつもなら私達が見ていると警戒して餌を食べませんが、この日ばかりは脇目も振らず、食事に熱中していました。
このお年玉は、カレンダーを購入してくださった皆様のご厚意で実現しました。
皆様の温かいサポートに感謝しながらワシ達を見守りました。

お正月でも収容へ

自然界にはお正月はありませんので、傷病鳥の収容ももちろんあります。
猛禽類と思われる鳥が路上で動けず、カラスに襲われている、という一般の方からの通報がはいりました。
スタッフが現場に駆け付けたところ、鳥の正体はノスリでした。
なんと!カラスが襲ってこないように、と発見者の方は寒空の下、車の外でスタッフの到着を待ってくださっていたのです!優しいお心遣いにスタッフ一同、心温まりました。
このほか、事故に遭った死体の収容もあり、スタッフは出たり入ったり、てんやわんやでした。

そして放鳥!

出会い(収容)があれば別れ(放鳥)もあります。
昨年収容され、リハビリを経て卒業試験に合格したエゾフクロウとトビを野生復帰させました。
低空飛行だったり、電線にぶつかりそうになったり、と久しぶりの外の世界での振る舞いに戸惑っている様子でしたが、2羽とも本来生きるべき世界へ帰っていきました。
そして終業後には釧路市内の神社へ初詣に出かけ、無事を祈願しました。

今までの寝正月が嘘のような、目が回りそうに忙しいお正月でした。

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