野外の痕跡が教えてくれること
散乱していた羽
夏のある調査のときのこと。
調査会社の方が、散乱しているたくさんの羽を発見しました。
写真はその時頂いた1枚の羽です。
発見時の状況から、この羽の持ち主は何者かに襲われてしまった可能性が高いということが推察されました。
それでは一体、誰が誰に襲われてしまったのでしょうか。

羽の持ち主は・・・?
羽の形態から部位を絞り込んだり、さらに図鑑も見たりしながら確認していきます。
羽の図鑑にもいろいろな種類のものがあります。
調べた結果、この羽はエゾフクロウの初列風切ということが分かりました。

犯人は・・・?
この羽の縁にあるギザギザした構造がフクロウの羽である強い証拠となります(写真左)。
この構造により羽ばたき音が軽減され、飛んで獲物に接近しても気づかれにくくなっています。
次に羽軸の付け根を見てみます。鳥を捕食する際、一般的に肉食哺乳類は、羽軸を噛み切って羽を取り除くので、羽軸には齧られた跡が残ります。
一方、歯を持っていない鳥類の場合は羽をむしり取ります。よって、羽軸の表面は写真の右のような、つるりとした状態になります。
以上のことから、襲った犯人は、大型の鳥類であると考えられました。

痕跡が見つかりやすい季節へ。
このように、野外に残された痕跡からも、動物たちの活動に関する様々な情報を得ることができます。
10月に入り、センターの周りの木々も色づき始め、だんだんと秋が深まってきました。
さらに冬を迎え雪が積もれば、足跡などの痕跡もより一層見つかりやすくなります。
これからの季節、寒さと格闘しながらも色々なものを探しに行くことを楽しみにしています。
