北へ帰れなかったオオワシ

執筆: 

保護した鳥(猛禽類)

北へ帰ることが出来なかったオオワシ

 5月のある日、本来であればすでに北へ渡っているはずのオオワシが羅臼町で保護されました。「腹部に穴が開いて出血しています!」との情報だったため、釧路からも獣医師が現場に向かい、羅臼の環境省レンジャーとから個体を受け取りました。

栄養失調と大量出血

 ワシは右翼の指骨が折れ、先端部分が消失していました。また、重度に痩せていたことから、事故に遭遇後、長いこと餌を食べることができていなかったようです。さらに重度の貧血を認め、相当量の出血があったことが疑われました。

縫合後

 呼吸の度に傷口から空気が漏れ出ており、そのままでは感染症を引き起こす恐れがあったため直ちにオペを行いました。骨折した胸骨を整復した後、裂けた腹部の筋肉と皮膚を縫合しました。

野生復帰できるか・・・

 現在、腹部の傷も癒え、フライングケージでリハビリ中です。右翼の初列風切のほとんどが欠落してしまっているので、野生復帰できるかどうか難しいところですが、ようやく少し高い止まり木にも上がれるようになってきました。

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