オジロワシ「ベック」の義嘴(ぎし)

執筆:研究員 

当番日記

前回の活動記録で紹介したオジロワシのベック。

今回はベックの義嘴(ぎし)についてお話ししたいと思います。

義嘴とは人工的な嘴(くちばし)のことで、義手や義足のように欠損した部位を補ってくれる器具です。

ベックは交通事故により上嘴基部から先を欠損しているため、上手く魚を食べることができませんでした。

しかしながら、義嘴を装着することによって一口サイズに切った魚を咥えて食べることができるようになりました。これにより、野生本来の行動ができるようになりベックのQOLQuality of Life:生活の質)の向上にも繋がります。

野生鳥類用の義嘴に既存のものはなく猛禽類医学研究所の獣医師が人間の歯科医師、歯科技工士と異業種コラボしながら開発を行っています。

義嘴と皮膚の接着面にはどうしても負担がかかってしまうため、着けたままの状態が続くと擦れにより皮膚が傷つき炎症を起こしてしまうことがあります。そのため現在は皮膚の状態を日々確認しながら、着けたり外したりして生活を送ってもらっています。

 

こちらが最近新調した義嘴(ver.5)です。今回は3Dプリントの技術を利用し、ベックの頭部全体をスキャンすることで義嘴本体と皮膚の接着面やバンドで固定する後頭部の形状がよりフィットするようになりました。

様々な技術を利用することで義嘴の型取りやクッション性などを改良しながら、負担が少なく体に合ったものを作成しています。

これをベックに装着すると、、、こうなります。

頭にバンドを巻いて固定するため毎回個性的な髪形(羽形?)になってしまいます。

そして魚を差し出すと、、、

このように義嘴を上手く使って魚を食べてくれます。

今後も試行錯誤しながら、よりベックが使いやすい義嘴を作成していきたいと思います。

 

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