夏は何の季節?

執筆: 

保護した鳥(猛禽類)

夏は何の季節?

 みなさんは、”夏”と聞くとどのようなイメージを思い浮かべるしょうか? じりじりと照りつける太陽、海水浴、花火、ホタル、夏祭り…? 釧路にも短く、涼しい夏がやってきました。釧路湿原はノゴマやノビタキなどの夏鳥で賑わっています。多くの野生動物たちにとって、夏は子育ての季節なのです。

夏のオジロワシ

 そんな夏のある日、1羽のオジロワシが保護されました。2日ほど前から道路の脇で、カラスに追われたり木に引っ掛かったりしていたそうです。  センターで詳しく調べてみたところ、少し痩せて脱水気味ではあったものの、幸い骨折などの大きな異常はありませんでした。

今年生まれの証拠

 オジロワシは成鳥と幼鳥で身体の色が異なり、大人の姿になるのに数年かかります。成鳥は、嘴が黄色く身体は薄茶色、そしてその名の通り尾羽が白いのが特徴です。このオジロワシは全身が濃い茶色の羽毛で覆われ、嘴も黒。さらによく見ると、羽の先端が糸のように細くなっています。これらは巣立ち前後の幼鳥にみられる特徴なのです。つまり、このワシは今年の春に生まれたばかり。巣立った後、なんらかの理由で親とはぐれてしまったのでしょう。

オジロワシとして生きるために

 数日間ほとんど何も食べていなかったのでしょう。旺盛な食欲で、見る見るうちに元気になりました。  幼いワシはすぐに人に馴れてしまうため、細心の注意が必要です。早い段階でリハビリ中の成鳥と同居させ、自分がオジロワシであることを自覚させなければなりません。フライングケージでの餌捕りや飛翔のリハビリも待っています。 恐る恐る成鳥に近づく幼鳥。一人前になるにはまだまだ遠いですが、2回目の巣立ちを目指して頑張ってもらいたいです。

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