片脚生活は大変。かゆいところに届かない脚。

執筆:獣医師

保護した鳥(猛禽類)

2024年千歳市で保護されたオジロワシ「ちとせちゃん」。

保護されたときには、ふしょ関節より先(人で言うと足首より先にあたる部分)を失っていました。

 

現在、ちとせちゃんは終生飼育個体として釧路湿原野生生物保護センターで暮らしています。環境教育や普及活動の場でも活躍してくれている大切な仲間です。

 

それでは、ちとせちゃんの様子を覗いてみましょう。

おや、羽繕い中でしたか、少しかゆそうですね…

そーっと頭の羽毛をかき分けてみます。すると、細いストローのような羽毛が見えます。これは一体??

実はこれ、新しく生えてきた羽です!

犬や猫に換毛があるように、鳥にも羽の生え変わる換羽(かんう)があります。

古い羽が抜けて、新しい羽が生えてくる時、生え始めの羽は羽鞘(うしょう)と呼ばれるさや状の膜に包まれて伸びてきます。羽鞘は羽が十分に伸びきった時に、自然に剥がれ落ちたり、嘴(くちばし)や爪を使ってほぐされることではがれ落ち、中からきれいな羽が出てくる仕組みになっています。ただ、羽鞘(うしょう)が残ったままだと、かゆみを生じるようです。

 

しかし、ちとせちゃんは、左脚が無いために、残された右脚は常に身体を支える役割を担っています。そのため、身体をかく(特に顔回り)ための自由の利く脚が無く、羽鞘に包まれたままの羽毛が多く見られます。

 

そんな時は、私たちがお手伝いをしています。

そーっと手を伸ばして、優しく掻いてあげます。すると、ポロポロと羽鞘が取れていきます。

 

片脚を失ったことで難しくなった動作が、ちとせちゃんには多くあります。羽鞘のケアのような小さなことであっても、日々の過ごしやすさに大きく関わります。少しでも快適に過ごせるよう、これからもサポートを続けていきたいと思います。

 

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