諦めることなく
交通事故?
5月初め、斜里町内で交通事故に遭ったと思われるオジロワシの若鳥が保護されました。到着した段ボール箱を開けてみると、ワシは腹ばいになり威嚇する元気もない様子。身体をよく診ると、左肘近くにやや古い大きな傷があり、皮膚が無くなり筋肉の一部が壊死していました。幸い骨折はありませんでしたが、脚の力はとても弱く、すぐに腹ばいになってしまいます。

またしても鉛!?
検査の結果、血液中の鉛濃度が高く、このワシもまた鉛中毒に罹っていることがわかりました。鉛弾の混入したシカ肉を食べて鉛中毒となり、フラフラになった状態で交通事故に遭ってしまったのでしょう。幸い解毒剤の投与が功を奏し、4日後にはこの通り、しっかりと立つことができました。しかし、依然として血中の鉛濃度は下がりきっておらず、油断は禁物です。

思ったより重症
翼の皮膚にだけ負っているように見えた傷は、実際は想像以上に深く、その一部は骨にまで達していました。定期的に、傷を洗浄するとともに壊死した部分を取り除いて、欠損部の再生を促します。

諦めることなく
鉛中毒や翼の傷を治しつつ、衰えかけた体力を取り戻すために、少し広めの入院ケージに移動させました。大きな外傷と重い疾病を患ったこのワシだけでなく、治療を試みる私たちも、諦めることなく野生復帰を目指したいと思います。
