網に絡まったオオワシ
シカ避けの網に絡まったオオワシ
1月中旬、道路パトロールのスタッフが道東自動車道を巡回中、農家が設置した古いシカ避け網に首と右翼が絡め、動けなくなっている若いオオワシを発見しました。
センターに緊急搬送して検査を行った結果、鼻からの出血や身体各所の擦過傷、口腔・気道内の真菌感染症が認められました。

入院室は狭いな
入院ケージの中で、集中的に外傷や感染症の治療を行った結果、比較的短期間のうちに体力が回復しました。とまり木の間を頻繁に行き来するようになるなど、狭い空間での飼育に大きなストレスを感じているような行動が見られるようになったため、フライングケージの中で本格的なリハビリを開始することにしました。

電光石火の技!?
狭いケージの中で、力が強いオオワシを捕獲するためには、手慣れた人間が鳥の気持ちを読みながら、安全かつ手早く作業を行うことが必要です。オオワシが窓の外に注意を向けた瞬間、最大の武器である両足を拘束します。

心を読み安全に
鋭い足爪から身を守りつつ、翼をしっかりと折り畳みたながらワシを抱き上げます。頑丈なクチバシにも気を付ける必要がありますが、ワシの気持ちが落ち着くように要所以外の力を抜くことも大切で、特に経験が物言う作業です。

空気の流れを診る
フライングケージに移す前に、診察室で検診を行います。呼吸器系の感染症を患った鳥では、気嚢(鳥類の体内にある呼吸器系の袋)音の聴診が非常に大切です。

無理なく「仕向ける」
口腔内からサンプルを採取し、顕微鏡で真菌の有無をチェック。無理な力をかけず、ワシが抵抗なく口を開けるように「仕向ける」にも、ちょっとしたテクニックが必要です。

ストレスを与えず体重測定
頭にフードをかけ、目隠しをした状態で体重計に乗せます。視覚だけではなく、音や鳥への触り方についても注意が必要な場面です。体重約5キロ・・・少し痩せ気味ではあるものの、栄養状態には問題がないレベルでした。

次のステップへ
一通りの検査を終え、晴れて野生復帰を目指したトレーニングを開始できることになりました。まずはやや小さめのフライングケージの中で、枝移りをしながら飛翔に必要な筋力を復活させます。
