感電対策
Electric shock measures
感電事故の防止
猛禽類は習性上、見晴らしの良い送配電柱をとまり木として利用しますが、この行動が感電事故を助長し世界中で問題となっています。近年、道内で発生した大型猛禽類の感電事故は、2024年までにオオワシで45件、オジロワシで33件、シマフクロウでは15件が記録されています。これらの感電事故の多くは、鉄塔に留まろうとした際に電線に接触もしくは接近して発生します。
感電事故の対策として、新設する送配電設備に対しては、周辺域に生息する猛禽類が電力柱にとまった際に、安全が確保されるような設計を採用することが重要です。一方、既存の送配電設備に対しては、猛禽類を危険な場所に接近させないための器具(バードチェッカー)の設置や、安全なとまり木の設置と誘導が必要となります。
実際に、電力会社などでは、通電部分への絶縁体の取り付けや電柱に猛禽類が止まらないようにする器具の設置を行っています。また、電柱の上部に安全な止まり木を設ける事で感電を防止する対策も行われています。
猛禽類医学研究所は、感電事故の発生した箇所や発生する可能性のある場所において、より効果のある対策ができるよう感電事故の原因究明を行い、分析に基づいた感電防止器具の開発や大型猛禽類に対する有効性の検証を実施しています。検証実験の結果、安全性と効果の認められたものは電力会社などと協議を行いながら感電事故防止に取り組んでおり、現在は全国で2700ヶ所近くに設置をし、設置した場所で感電事故が発生していないことを確認しています。


