交通事故
Traffic accident
自動車事故・列車事故の発生機序と影響
交通事故は、自動車事故と列車事故の2つに大きく分けられます。
自動車事故について、シマフクロウの場合は橋の上での事故が多く、河川流域を生息場所とするシマフクロウが川沿いに移動する際に橋の上空を通過して車両との事故が発生している現状にあると、環境と被害鳥の生態を踏まえて考察されます。
また、自動車事故に遭ったシマフクロウやワシ類における診察や解剖の結果、多くは上半身を負傷しており、路面に降りているところをはねられた可能性が高いとがわかりました。路面や路肩に放置された生物の轢死体に誘引され、採食の為に路面まで降りてきてしまっていると考えられます。
実際に、事故の被害に遭ったシマフクロウの消化管からは未消化のエゾアカガエルが、オオワシ・オジロワシの場合は未消化のシカの肉や体毛が頻繁に検出されることから、被害に遭った個体が事故の直前に、これらの死肉を食べていたことが確認できました。
近年頻発している列車事故も、跳ねられたと思われるエゾシカの死体が線路上もしくは線路脇に放置されることによる、餌を求めて集まった猛禽類の二次被害であることがわかっています。現地視察では、列車が接近しても採食に夢中で逃げ遅れそうになる様子も確認されています。食資源に乏しい冬季は事故発生数が特に多く、シカの轢死体への依存も事故発生の背景として懸念されています。
