足指を負傷
ダンボールの中でグッタリ。。。
今年2月、道路脇でシマフクロウが保護されたとの連絡が入りました。現場に駆けつけると、焦点の定まらないシマフクロウが一羽、ダンボール箱の中でグッタリと壁によりかかっていました。治療のため手をさしのべると、バランスを崩して仰向けに倒れてしまいます。交通事故によって頭を強打していることが疑われ、輸液や投薬などの応急処置を施した後、センターに緊急搬送しました。

一刻を争う重傷
センターに到着後、すぐに本格的な検査や治療を開始しました。血液検査で、重度の貧血が認められたため、エコー(超音波画像診断装置)やレントゲンを使って体内への出血の有無を確認し、投薬などの処置を施して行きます。
一通りの検査と処置を行った後、酸素供給と保温が施された入院室の中で、最悪の状況からの脱出を試みます。

一度会ったことがあるね
事故に遭ったシマフクロウには足環が着けられていました。環境省の事業として、毎年春、その年に生まれた雛を捕獲して健康チェックと個体識別のための足輪が着けられています。私達もこの作業に参加していますが、今回収容されたシマフクロウも、数年前、雛の時に会った事のある鳥だったのです。

大人しいのは重篤の証
足指に負った大きな裂傷を縫い合わせ、特殊な包帯でしっかりと固定しました。
全身麻酔がかけられている訳でもないのに、このシマフクロウは何をされても非常に大人しく、事故によって重篤な脳障害を発症している事がわかります。

少しだけ回復の兆しが
数日後、ようやく音に対して反応を見せるようになったシマフクロウ。餌の魚をそっとクチバシに触れさせると、刺激に反応して咥え、なんとか自力で飲み込むようにもなってきました。
依然として視力は回復せず、焦点も合っていませんが、グッタリと横になる事はなくなりました

治る力は残っていた!
まだ完全ではないものの、ようやく視力を取り戻したシマフクロウ。容態が落ち着いてきたため、広めの入院室に移したところ、低い止まりまで飛び移れるようになりました。また、浅いトレイの上に置いた魚を自力で採食できるようになりました。
生きた魚を捕ったり、自由に飛び回れる日はまだまだ先ですが、この調子で頑張ってもらいたいと思います。
