シマフクロウの産卵
入院中のシマフクロウが卵を産みました
釧路湿原野生生物保護センターでリハビリを続けているシマフクロウが、入院中にペアとなり、この春初めて産卵・抱卵を行いました。メスは道東の国道脇で発見され、右の翼を複雑骨折していました。オスも近隣の路肩で保護され、頭を強打したことによると思われる、重度の脳障害が認められました。収容時の状況などから、路上に出てきたカエルを捕食している最中に、走ってきた車と接触したと考えられます。
幸い、手術や集中治療によって奇跡的に一命を取り留め、現在は大型フライングケージの中で飛翔や採餌のリハビリが行われています。

慎重に転卵するメス
重傷を負っていたシマフクロウ同士が入院中にペアとなり、繁殖行動にまで漕ぎ着けたことは、命を救うだけでなく、効率よく希少種の数を増やすための様々な試みを、同じ施設の中で一貫して行えることを意味しています。また、生まれた雛がケージの中で巣立てば、人の手を全く介さずに野生復帰のための訓練が始められるという利点もあります。
残念ながら、今年若いメスが産んだ初めての卵は無精卵でした。しかしながら、毎日貴重な命と向き合っている私達にとっては、救護活動の意義をあらためて教えてもらう、とても嬉しい出来事になりました。
