骨折したヒヨドリ

執筆: 

保護した鳥(その他の鳥類)

前腕を骨折したヒヨドリ

厚岸から建物に衝突したヒヨドリが運ばれてきました。レントゲン検査の結果、左の前腕を骨折していました。鳥類では太い方の尺骨は3つに割れ、細い橈骨も根本で脱臼していました。
輸液などを施した後、全身麻酔(ガス麻酔)をかけて骨をつなぐ手術を行いました。骨折部位に合ったピンを注射針を用いて自作し、割れた骨をつなぎ止めました。脱臼した橈骨も元の位置に整復しました。

細かい手術で骨をつなぎました

折れた骨の断端が周囲の腱や筋肉を損傷していましたが、幸い大きな出血もなく、約20分で全ての処置が終了しました。骨がしっかり付くまでは安静が必要ですが、その後は春先の野生復帰に向けてリハビリに励んでもらおうと思っています。
今回のように手技的には難しくないものの、緻密な作業が必要とされる症例は、獣医師にとって臨床技術を磨く良い機会になっています。

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