ラオスでの感染症調査
目移りしてしまうマーケット
OIE(国際獣医事務局)によって行われる鳥インフルエンザの調査で、これまでにベトナム、モンゴルなどを巡っていますが…今回はラオス人民民主共和国に行ってきました。ラオスは日本の本州ほどの大きさですが、総人口は日本の5%ほどだそうです。それでも首都のビエンチャンのマーケットは、細い路地に店が立ち並び、たくさんの人で賑わっていました。

ラオスのフードコート
マーケットはもちろん、カフェやレストランなどでも、ヨーロッパから来ているという観光客を多く目にしました。日本ではラオスはまだあまり馴染みのない国ですが、ルアンパバーン(1995年登録)とチャムパーサック(2001年登録)といった二つの世界遺産があることや、開発が進む東南アジアの中でも自然が残っていることなどから、欧州ではラオスへの観光が非常に人気あるそうです。

世界遺産へは
いざ、世界遺産へ!と、行きたいのはやまやまなのですが、マーケットで調査に必要なものを買い出した後は、野鳥を求めて調査地へすぐに出発です。現地の協力者に鳥がいそうな水辺に案内してもらいました。今回は、野鳥からのサンプルを採取することの他に、カモに衛星発信機を装着して渡りを調べることが目的です。

ラオスチーム集結!
野鳥の捕獲は簡単ではありません。鳥が休む場所、餌を食べる場所を観察しながら、現地の人に聞き取りをしながら、捕獲に適した場所を探します。さらに周囲には水牛が放牧されており、かすみ網が倒されないような場所でなくてはなりません。特に今回はじっとしていても汗がにじむ暑さの中で網を設置しなくてはならなかったので、いつもよりも大変な作業となりました。

ラオスの別荘です
調査のベースキャンプとして、現地の人が池で魚を採ったりする時に使われる作業小屋をお借りしました。実はラオスは私達が訪れた月は暑季の始まりで、30℃を超える日々でした。ガイドブックなどで事前に暑いとの知識はあっても、実際に40℃近くの気温は…体が北海道仕様の私にはとてもつらい暑さでした。高床式の小屋は風通しが良く、理にかなった仕組みです。

ラオスの漁業
調査中、池で漁をして獲れた魚やエビを仕分けていた現地の人に出会いました。ラオスはミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナム、中国に囲まれ、海が無い国です。こうした河川や池での淡水漁業が主要な生業だそうです。

村市場
調査の合間を見て、村の市場で食料品の買い出しです。日本では目にしないものや、その国ならではの食べ物を見るのは、とても楽しいものです。馴染みのない野菜や果物、お菓子などは、ついつい挑戦してみたくなります。カエルやヘビ、ネズミといったものもありましたが…ちょっと遠慮させてもらいました。

焼き鳥
アヒルの焼き鳥には挑戦しました。頭も足も食べるそうです。暑い中、これまた熱い作業をしているのに、焼いているお姉さんは涼しげです。ラオス人は穏やかで親切な人が多く、色々説明してくれました

楽しいお食事タイムです
調査の合間を見て、マーケットで買ってきた色々な食べ物にチャレンジです。ラオスではもち米が主食で、竹で編んだ器から蒸したもち米を手でひとつまみ取り、おかずをつまんで一緒に食べます。暑い気候のせいか、辛いものが多いかもしれません。現地の人は、池で取れるタガメやゲンゴロウなどもおかずとしていました。

素早く、痛みのないように
捕獲した鳥達は暑さで弱ってしまわないよう細心の注意を払いました。記録を取る、健康状態の把握のため体重などの計測をする、そしてサンプルを採取するといった作業を分担してすばやく行いました。採取したサンプルは、ラオスの獣医当局と日本の検査機関で分析が進められる予定です。

幸せの青い鳥?
小鳥や水鳥を狙って調査を行いました。今回は暑い中、本当に大変な作業でしたが、なんとか100羽以上のサンプルを採取できました。捕獲した中には、日本では出会えない鳥もいて珍しさに胸が躍ります。写真は、クロエリヒタキの雄です。鮮やかなブルーに目を見張るばかりです。

これはカモかも?
渡りの研究のため衛星発信機を装着するカモの捕獲も目的の一つだったのですが、やはり簡単には捕まらなくて…調査も後半に差しかかった頃、ようやく1羽のカモが捕獲されました。写真のリュウキュウガモです。しかしリュウキュウガモは留鳥で、複数の国を渡ることがないことから今回は発信機を装着しませんでした。今後の調査で渡り性のカモに装着できる日が来るまで、発信機はお預けです。
