ロシア人を招き研修
ロシアの獣医師らを対象に、猛禽類の鉛中毒に関する研修を行いました
環境省による「日ロ共同オオワシ調査」の一環として、オオワシの生息地であるロシア連邦サハリン州から獣医師等を招聘し、一週間にわたって猛禽類の鉛中毒に関する専門実習を実施しました。 今回受講したのは、サハリン州立ユジノサハリンスク動物園の獣医師長と副園長の二人です。同園では現在3羽のオオワシが飼育されています。いずれも事故などによって収容され、重度の後遺症により野生復帰させる事が出来ない状態であるとのことでした。

鉛中毒によって死亡したオオワシの剖検
北海道で多発しているワシ類の鉛中毒症は、狩猟時に鉛弾が使われている地域では、国内外を問わず発生する可能性があります。投棄されたシカの死体をワシが食べ、肉の中に含まれる鉛弾をワシが飲み込んだ場合、越冬地北海道のみならず、渡りの途中や繁殖地ロシアに戻ってから体調が悪化する可能性があります。 今回の実習では、鉛中毒症の主な症状、剖検時に観察される所見、基礎的な治療方法に関する講義や実習を行いました。

大型猛禽類の安全な取り扱いに関する実習
大型猛禽類の検査や治療を安全に実施するためには、適切なハンドリング(取り扱い)技術の習得が欠かせません。動物や人間が怪我をしない事はもちろんのこと、患者に不必要なストレスを与えない事も重要です。 今回は捕獲、不動化、基礎的な検査や治療、そしてリハビリテーションに至るまでの一連の作業を体験してもらいました。

オオワシの保護に向けた国際協力を議論
国境を越えて渡るオオワシを守るためには、この種が直面している様々な問題に対する共通認識を、日ロ双方が持つ事が重要です。 両国の専門家が直接顔を合わせ、それぞれの国の現状や問題点を情報交換し、保護に向けた更なる試みや協力体制を議論する事は、希少な野生動物をグローバルな視点で保護して行くためには非常に有意義なことです。
