ハヤブサの成鳥と幼鳥

執筆:安達光

当番日記

①飛べないハヤブサの収容

10月初旬、牧草地に飛べないハヤブサがいるという連絡が入りました。
すぐに現地に向かうと、膝下程度の丈の草地の中に個体を確認しました。
こちらに気づくと走って逃走を図りましたが、草のせいでスピードが出ずにあっさり捕獲。
何か言いたげな顔で捕獲者を見ています。
診察の結果、衝突が疑われましたが、幸い骨折や大きな外傷はありませんでした。
しかし、左足の第3趾(中指)に力が入らない状態でした。

②飛翔能力の確認

収容後は入院部屋で、使える趾を使って自力で採食できることを確認しました。
あとは、しっかり飛ぶことができれば放鳥ができそうです。そこで、ジェスと呼ばれる革製の足環に丈夫な糸を結んで飛翔させるラインフライトを行いました。
スタッフの手の中から勢いよく飛び出し、飛翔能力も十分であることが確認できました(写真赤丸)。
後日、この個体は無事に放鳥されました。ケージから飛び出し、一直線に飛んでいき、あっという間に見えなくなりました。
最後に期待通りの力強い飛翔を見せてくれて一安心でした。

③ハヤブサの成鳥と幼鳥

成鳥を放鳥した翌月、今度は別の町でハヤブサの幼鳥が収容されました。
写真の左が幼鳥、右が放鳥した成鳥です。こうして並べて見ると、似ているようで、結構見た目に違いがあることが分かりますね。
違うところをいくつ見つけられるでしょうか?

④卒業まではもう少し

この幼鳥は収容時、骨折はないものの、腰の皮膚が裂けてしまっていました。
現在、この傷は塞がっていますが、周りの羽毛が抜けてしまっています。
これからより一層寒さが厳しくなる季節、羽毛がなければ冷気が直接皮膚に当たってしまいます。
自然界に帰るのはもう少し先、まずは羽毛が生えてからになりそうです。

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