タンチョウの収容
掃き溜めに〇〇!?
猛禽類医学研究所には時として猛禽類以外の鳥類も収容されます。
ある日、スラリータンクにタンチョウが過って転落した、という通報がありました。
スラリーとは牛の糞尿のことで、それを集めるタンクをスラリータンクといいます。
そこにタンチョウが転落したとなると、掃き溜めならぬ肥溜めにツルというわけです。
しかも1羽だけでなく、2羽いるとのこと!番(つがい)でしょうか?
彼らを救出するべく、現場へ急行しました。

お風呂タイム
2羽ともケガひとつなく無事でしたが、いかんせん、スラリーにまみれたので、全身が汚れてしまいました。
羽毛が汚れると、放たれる臭いもさることながら、保温等の羽毛本来の機能が果たされなくなってしまいます。
そのため、羽毛を洗って汚れを落とします。
洗いっぱなしでは体が冷えてしまうので、洗浄後はしっかり乾かします。作業は目隠しの頭巾を頭に被せて行います。
こうすることでタンチョウが暴れなくなり、安全に作業することが出来ます。

放鳥!
汚れが十分に落ち、乾いて全身がキレイになったのを確認できたら、いよいよ放鳥です。
華麗に飛び去って行くタンチョウの姿を思い描いていましたが、2羽とも後ろを振り返ることもなく、一心不乱に歩いてわたしたちから離れていきました。
同時に転落していたので彼らは番かと思っていましたが、放鳥後は一定の距離を保ち続け、お互いそれ以上近づこうとしません。
どうやら他人同士だったようです。

秋の日は〇〇べ落とし
タンチョウを見届けた後、世界三大夕日と名高い(?)美しい夕焼けを見ながら、職場に戻ってきました。
まだ5時過ぎだというのにあたりは真っ暗で星が瞬いています。
まさにツルベ落としのごとく、あっという間に日が暮れてしまいました。
過ぎ去った夏に思いをはせ、秋の深まりを感じる夕刻でした。
