飢餓状態のオオワシを保護
風蓮湖で収容
4月の終わりに、オオワシの幼鳥が保護されました。外傷はなく、意識もしっかりしていましたが、重度の削痩と脱水が見られ、血液検査の結果から、栄養失調による衰弱状態であることがわかりました。数日、入院室で様子をみてからリハビリ用のフライングケージに移しました。

北帰行できずに
オオワシは渡りをする鳥です。越冬のため北海道に飛来し、春には繁殖のため再び北へ戻っていきます。収容された4月末は、すでに北に向けて出発していなくてはならない時期でした。幼鳥は一般的には、成鳥よりも採餌能力が低いとされていますが、実はセンターには今春、同じように衰弱していた幼鳥が、2羽保護されています。

採餌環境に変化が
収容までの時間の経過と共に、明確な原因が突き止めにくいこともありますが、衰弱に至る背景には、越冬地である北海道での餌資源の不足が考えられます。スケソウダラ漁や氷下待網漁といった漁業のおこぼれを狙い、ワシ同士が競合する一面も時に見られますが、こうした人為的な餌資源に頼らざるを得ないことは、本来の天然資源を供する環境に変化があるからと思われます。

来季の野生復帰に向けて
リハビリ用のフライングケージに移したオオワシは、最初の数日は飛翔することができませんでしたが、徐々に筋力を戻し、今では高い止まり木に自在に止まれるほど回復しました。渡りの時期はすでに終わってしまっているため、仲間達が再び北海道に渡ってくるまで、センターでリハビリを続けたいと思います。
