オジロワシの卒業

執筆: 

保護した鳥(猛禽類)

鉛が消え、傷が癒え

 以前ご紹介した、鉛中毒と交通事故により深刻なダメージを負っていたオジロワシ。鉛が体内から消えるまで約1ヶ月半。また、翼が治癒し、筋力が回復するまで約6ヶ月もかかってしまいました。壊死した部位を切除し、組織の再生を促す手術を何度も繰り返し行いました。時には相当な痛みもあったと思われますが、じっと我慢して治療に耐えてくれました。

いざ大空へ!・・・?

 湖の畔の放鳥地に運び、飛び立つ瞬間を撮影しようと、輸送ケージの前にカメラとビデオをセットしておきました。
扉が開き、勢いよく飛び出すオジロワシ・・・
ワシにとっても、長い間治療に当たっていた私達にとっても、待ちに待った至福のひとときです。

お礼の一発!?

 しかし・・・ワシはすぐに大空に飛び立たず、カメラのすぐ横まで真っ直ぐ歩いて行きました。治療してくれた人たちへのお礼として、至近距離からのシャッターチャンスをプレゼントしてくれたのかと思いきや・・・
なんと、ビデオカメラに対して強烈な足蹴りを一発 !!

大空舞う勇姿こそ最大のお礼

 その後、満足したかのようにフワリと舞い上がり、あっという間に澄んだ冬空高く飛んで行きました。再び鉛中毒や事故に巻き込まれないようにね!
北海道で鉛弾の規制が始まって既に10年以上。しかしながら、未だにこのルールが遵守されていないことをワシ達が物語っています。被害に遭う野生動物たちを無くすため、日本全国で鉛弾が早急に撤廃されることを心から願って止みません。 

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