交通事故のアオバズク
紅葉の頃に
木々の葉が鮮やかな彩りを見せ、秋の気配を肌で感じていた9月中旬、1羽の小さなフクロウが保護されました。釧路市の名所の一つ、幣舞橋(ぬさまいばし)近くの道路を、ピョンピョンと歩いていたところを見つかりました。発見者がたまたま知人だったこともあり、午後9 時を回っていたにも関わらず、フクロウを保護し、センターに連絡を入れてくださいました。

ちょっとビックリ顔!
「フクロウ」とのお話だったので、エゾフクロウを想像しながら待ち合わせ場所に向かいましたが、いざ対面してみると、ずっと小さくて黄色い眼が特徴的なアオバズクでした。元気はあるものの、左側の翼が骨折していることがすぐに解りました。発見現場は交通量も多く、車と衝突したのかもしれません。協力いただいた方にお礼を言い、すぐにセンターに運びました。

釧路では珍鳥です
アオバズクはフクロウの仲間ですが、小型の鳥や哺乳類、さらには昆虫も好んで捕食します。北海道では夏鳥ですが、道東の釧路ではあまり観察の記録がなく、珍しい鳥なのです。せっかく来てくれたのに、事故に遭ってしまうなんて…ごめんね。

整復オペ Before & After
レントゲン検査の結果、左翼の「尺骨」という骨に、骨折が認められました。体重がわずか180gしかない非常に小さな体のため、あまり重い固定器具を使うことはできません。今回は脊髄麻酔用の特殊な注射針を、骨を固定するピンに改造して利用しました。

接合完了!
ピンを入れた骨が完全に付くまで、翼はテーピングでしっかりと固定します。しばらくは狭いケージの中で我慢の日々を過ごしてもらいました。オペを行ってから18日後、レントゲン検査の結果、骨折していた骨が癒合していることが確認されました。もう固定具は必要ありません。ピンを抜き、飛翔訓練の始まりです。

訓練、頑張っています!
2mほどの高さがあるケージの中で、リハビリを開始しました。飛び上がったり、飛び降りたりしながら、衰えた筋力の回復に励みます。その後、室内で試験飛翔を行った結果、広い空間を勢いよく飛べるようになったことがで確認できました。 アオバズクはすでに北海道よりも南方に渡っている季節。現在、本州以南で放鳥するか、釧路で越冬してもらうかを検討中です。
