オオワシ・オジロワシ

Steller's sea eagle/White-tailed eagle

オオワシ・オジロワシの活用例

  • 放鳥予定個体の教育

    放鳥を目指して訓練中の個体に対して、同種や異種の終生飼育個体を適宜同居させることで、飼育ストレスの軽減、危険回避能力の向上、採餌時における競合の再現等を試みています。

  • 傷病個体の救護を目的とした
    輸血ドナー(供血鳥)

    救護された傷病個体の中で、輸血が必要な重度な貧血個体に対するドナーとして活用しています。その際、個体間で輸血可能かどうかクロスマッチングテストにより確認しています。

  • 交通事故対策に関する研究

    これまで搬入された交通事故の原因究明を行ったところ、道路や橋の横断、橋梁の利用、道路上に餌となる轢死体による誘引といった事例があることが解りました。
    事故の防止策として、ポールの設置による高所への回避、危険箇所に止まらせない器具の設置などを考案してきました。
    ケージ内で実験することで、その形状や設置間隔の適正を検証しています。

  • 感電事故対策に関する研究

    送・配電設備へ大型猛禽類がどのように止まろうとするのか、構造物への止まり方を見ることで事故時の姿勢を再現するといった、感電事故の発生するメカニズムの解明を試みています。
    そして危険な個所への止まり防止のために、ケージ内の止まり木に様々な色や形の構造物を設置し、それに対するワシの反応を観察し、効果の検証を行っています。
    電力会社と共同開発した感電事故防止器具は、現在道内の多くの送・配電設備に設置されており、感電事故の軽減に役立っています。

  • 風力発電施設における
    衝突事故対策に関する研究

    近年事故数が増加傾向にあるのが発電用風車との衝突事故です。
    オジロワシでは、2004年頃から現在(2017年)までに46羽が風車との衝突で死亡しています。しかしこれは氷山の一角でしょう。
    なぜ風車のブレードと衝突してしまうのか、防止策はないかを探るために、オジロワシの視認性試験を行っています。

  • 教材

    行政官や獣医師・学生、一般市民向けの救護講座などの場では、保定や採血の練習台として活躍しています。人材育成や技術の向上のためには、実地経験を積むことが何よりです。これも野外個体の健全を守るためには、必要な訓練と考えています。

個体の紹介

※地図をクリックすると該当エリアの個体に遷移します。

根室

収容原因

交通事故

治療の際には、毎回大暴れをしてスタッフを困らせる暴れん坊。
右の翼を骨折していたが、短い距離なら飛べる。

種名
オジロワシ
猛禽番号
16-根-WTE-5
収容日
2016.7.8
収容地
標津町
年齢
14歳以上
マーカー
水色
性別
メス

釧路

収容原因

列車事故

水浴びや雨の後はいつも、顔回りの羽毛がボサボサ。
右肘の脱臼と右脚の骨折をしていた。その後遺症で上手く飛べない。

種名
オジロワシ
猛禽番号
19-釧-WTE-5
収容日
2019.6.16
収容地
弟子屈町
年齢
12歳以上
マーカー
橙色
性別
メス

上川

収容原因

不明衝突

幼鳥で保護された。左の翼を骨折していたが少しだけ飛べる。
しかし、飛ぶより走る方が速く、逃げ足No.1のオオワシ。

種名
オオワシ
猛禽番号
12-上-SSE-1
収容日
2012.2.10
収容地
士別市
年齢
15歳以上
マーカー
赤色
性別
メス

収容原因

列車事故

保護当時の幼鳥の頃から現在まで気が強く、堂々としているオオワシ。
列車に轢かれたシカを食べている際に後続列車と接触し、左の翼を骨折。

種名
オオワシ
猛禽番号
20-上-SSE-1
収容日
2020.12.10
収容地
当麻町
年齢
6歳以上
マーカー
黄色
性別
メス

収容原因

交通事故

左の翼を骨折した後遺症により、上手く飛ぶことができないが、ケージ内の高いところに止まり、隣のケージを覗いている。

種名
オジロワシ
猛禽番号
19-上-WTE-1
収容日
2019.2.19
収容地
旭川市
年齢
12歳以上
マーカー
白色
性別
メス

日高

収容原因

不明衝突

頭部の羽毛の一部が白いのが特徴的でおしゃれなオオワシ。
左の翼を骨折し腱も傷めたため、上手く飛べない。

種名
オオワシ
猛禽番号
17-日-SSE-2
収容日
2017.1.26
収容地
新冠町
年齢
13歳以上
マーカー
水色
性別
メス

収容原因

不明衝突

事故に遭ってから一週間以上飛べない状態でも生き延びる体力とメンタルの持ち主。左の翼を骨折し、上手く飛べない。

種名
オオワシ
猛禽番号
15-日-SSE-2
収容日
2015.12.21
収容地
平取町
年齢
15歳以上
足環
赤G1
性別
メス

留萌

収容原因

風車事故

写真映えNo.1の色白で美しいオジロワシ。
風車事故でなんとか一命を取り留めたが、右の翼を骨折した後遺症で上手く飛べない。

種名
オジロワシ
猛禽番号
19-留-WTE-1
収容日
2019.2.2
収容地
苫前町
年齢
12歳以上
マーカー
紫色
性別
メス